ホテル・旅館のビジネスモデル

ホテル・旅館のビジネスモデル

-その動向と将来-

著|大野正人
定価3,080円(2,800円+税)
在庫:あり
仕様:B5判並製
ページ数:233
ISBN:978-4-434-26968-4
発行日:2019/12/15
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summary
   

本書は、宿泊特化型ホテル・デザイナーズ旅館・民泊等、様々な業態に多様化しつつある我が国の宿泊施設について、施設コンセプト構築、オペレーション管理、所有と経営の分離等の事業スキーム構築について、主にマーケティングの視点からまとめている。また、国内旅行、訪日外国人、婚礼宴会・コンベンション、民泊、チェーンホテル等の市場動向と供給動向を豊富なデータをもとに整理したうえで、今後のホテル・旅館経営の将来について示唆している。

contents
序章 宿泊施設のビジネスモデルと本書の構成
1章 宿泊施設の経営特性
  • 経営の特性と課題
    1. (1)宿泊施設が提供するサービス
    2. (2)宿泊施設の経営課題
  • 複数サービスの組み合わせによるコンセプト形成
    1. (1)宿泊をコアとする複数サービスの集合体
    2. (2)空間利用権と人的サービスの特性
    3. (3)館内共用空間と街中の空間の関係性構築 ―クローズ戦略とオープン戦略―
  • 対象市場とサービス領域の組み合わせによる機能構成
    1. (1)宿泊旅行客と地元客、宿泊サービスと料飲サービス
    2. (2)立地により異なる機能構成モデル ―多機能タイプと単機能タイプ―
    3. (3)立地とサービス領域により異なる競合対象
    4. (4)街の機能との役割分担・相互補完モデル ―まちづくりとの連動の重要性―
    5. (5)街全体で宿泊機能を提供する分散型宿泊施設
  • 損益と財務の特性
    1. (1)サービス領域により異なる損益・財務の構造
    2. (2)収益不動産としての特性
  • 品質と業態の特性
    1. (1)品質を形成する要素とその特性
    2. (2)業態カテゴリーを表現する要素とその特性
2章 マーケティングに基づくコンセプト構築
  • 宿泊旅行市場のマーケティング
    1. (1)旅行目的により異なる宿泊施設へのニーズ
    2. (2)同行者数・宿泊日数により異なる宿泊施設へのニーズ
  • 団体客・MICE市場のマーケティング
    1. (1)集客交流産業における宿泊施設のポジション
    2. (2)団体客・MICE市場の内訳と宿泊施設のターゲット戦略
    3. (3)団体客・MICE市場の販売と流通への対処
    4. (4)宿泊施設がターゲットとする市場と成立可能な業態
  • エリアマーケティング
    1. (1)宿泊旅行客市場 (主に客室部門) の立地評価
    2. (2)地元客市場 (主に料飲部門) の立地評価
    3. (3)立地条件変化の要因と影響 ―交通体系の変化、地区の環境変化、集積効果―
  • ターゲット客層の設定
    1. (1)需要変動の経営への影響
    2. (2)季節・曜日によるターゲットミックス
    3. (3)ターゲットミックスに基づくコンセプト構築
  • 生活文化の表現による非日常の魅力創造
    1. (1)上流階級の生活文化の体験
    2. (2)自己の個性を表現するライフスタイルの体験
    3. (3)異文化の体験 ―国・地域固有の生活文化―
    4. (4)異空間の体験
    5. (5)非日常の生活文化表現の意義と留意点
    6. (6)街並みと宿泊施設のコンセプト統一による相乗効果
3章 オペレーション管理
  • 商品開発と販売管理
    1. (1)需要変動に対応した商品開発
    2. (2)パッケージとアラカルトの使い分け ―バンドリングとアンバンドリング―
    3. (3)料金体系の使い分け
    4. (4)商品別の収益管理 ―誘客商品としての食事の魅力向上―
  • 予約と流通チャネルの管理
    1. (1)一次販売 (予約時) と二次販売 (現地) の特性
    2. (2)収益管理 (レベニューマネジメント)
  • 顧客の管理
    1. (1)宿泊旅行客のリピーター保持戦略
    2. (2)地元客のリピーター維持戦略
    3. (3)リピーター維持のための手順と留意点
  • 生産性の管理 ―人的資源開発、業務改善、ワークスケジュール管理―
    1. (1)ホスピタリティ向上のための人的資源開発
    2. (2)業務改善とワークスケジュール管理
    3. (3)人件費の需要変動対策
    4. (4)部門別損益管理
    5. (5)事業リスクの管理 ―リスクアナリシスによる損益評価―
4章 成長戦略の選択肢
  • 宿泊施設経営に求められる資質
  • 成長戦略の選択肢
    1. (1)宿泊旅行客市場における成長
    2. (2)地元客市場における成長
5章 事業スキームの構築
  • 事業スキーム多様化の要因とその形態
    1. (1)上下分離スキーム ―所有・経営・運営の分離―
    2. (2)領域別分離スキーム ―宿泊と料飲、運営と販売、接客と後方支援―
    3. (3)外部委託や提携の可否の判断
    4. (4)サービスサプライチェーンの形成
  • 運営委託とフランチャイズの事業スキーム
    1. (1)運営委託 (Management contract)
    2. (2)フランチャイズ (Franchise)
    3. (3)所有・経営法人から見た運営法人との関係構築
    4. (4)投資目的の所有法人の特性とプロパティマネジメント会社の役割
  • ホテルチェーンの事業スキーム
    1. (1)ホテルチェーンの強みと弱み
    2. (2)ホテルチェーンの強みと弱みの変化
    3. (3)ホテルチェーンの様々な類型とその動向
  • 会員制宿泊施設の事業スキーム
    1. (1)不動産に関する権利形態 ―分譲型 (所有権付与) と預託金型 (利用権付与) ―
    2. (2)利用に関する権利形態
    3. (3)購入動機の生成と継続利用動機の維持
    4. (4)対象となる市場 ―法人市場と個人市場―
    5. (5)ビジネスモデル構築の留意点
  • 公的事業体・半公的事業体の事業スキーム
    1. (1)公的宿泊施設の変遷と課題
    2. (2)公設・公営から民営化への移行スキーム
    3. (3)半公的事業スキーム
6章 宿泊産業の動向と将来
  • 市場の動向と将来
    1. (1)国内宿泊旅行市場の概観
    2. (2)国内発の国内宿泊観光旅行の動向と将来
    3. (3)国内発の国内業務旅行の動向と将来
    4. (4)訪日旅行市場の動向と将来
    5. (5)宴集会・MICE市場の動向と将来
  • 宿泊産業の動向と将来
    1. (1)宿泊需要と宿泊産業のシェア
    2. (2)宿泊産業の宿泊需要の動向と将来
    3. (3)客室供給と稼働率の動向
    4. (4)稼働率と宿泊単価の動向と将来
    5. (5)チェーン化の動向
7章 業態別の動向と将来
  • 都市に立地する宿泊施設
    1. (1)多機能、宴会・料飲主体型の宿泊施設 ―シティホテル、コンベンションホテル等―
    2. (2)宿泊主体型の宿泊施設
    3. (3)宿泊特化型の宿泊施設
    4. (4)簡易宿泊施設
  • 観光地に立地する宿泊施設
    1. (1)大規模 (多機能) の宿泊施設
    2. (2)小規模・高級の宿泊施設
    3. (3)中規模・中級価格帯の宿泊施設
    4. (4)大規模~中規模のバジェット旅館
    5. (5)小規模・低価格・料飲サービス提供の宿泊施設
    6. (6)ドミトリー形式の宿泊施設 ―ユースホステル、ゲストハウス等―
    7. (7)宿泊特化型の宿泊施設
  • 特異な立地・利用形態・客層の宿泊施設
  • 民泊等の分散型宿泊施設
    1. (1)分散型宿泊施設の動向
    2. (2)分散型宿泊施設のビジネスモデルとその課題
    3. (3)分散型宿泊施設の将来
8章 ホテル・旅館のビジネスモデルの将来
  • マーケティング課題への対応
  • 機能とサービスの方向性
    1. (1)客室サービス
    2. (2)料飲サービス
    3. (3)リラックスサービス
    4. (4)チェックイン前、チェックアウト後の館外サービスへの進出
    5. (5)訪日外国人へのホスピタリティ
    6. (6)ダウンサイジングと館内分割
  • AI活用によるオペレーション管理の労働生産性向上
  • 地域一体経営と宿泊施設の複数施設経営
    1. (1)宿泊施設と街の役割分担、相互乗り入れ
    2. (2)複数の小規模宿泊施設の経営一体化
  • オペレーションに特化したリージョナルチェーンの増加
  • 余剰不動産・歴史的建造物の用途転換
  • テクノロジーの進化とビジネスモデルの将来
    1. (1)無人宿泊施設の可能性
    2. (2)館内物流とロボット化の可能性
    3. (3)自動運転車両、カーシェアリングによる宿泊施設への影響
9章 宿泊産業を取り巻く法制度等の諸課題
  • 宿泊産業と社会・経済の関わり
    1. (1)社会・経済における役割の変化
    2. (2)産業としての位置づけ
    3. (3)旅行・観光消費における位置づけ
  • 宿泊産業が適用を受ける法律の現状と課題
    1. (1)旅行者保護から消費者保護……旅館業法、および様々な消費者保護の法律
    2. (2)治安と風紀の維持
    3. (3)観光振興のための産業育成
    4. (4)社会的責任
    5. (5)改正旅館業法と住宅事業法の概要
10章 参考資料、マーケティングデータ一覧
  • コンセプト構築に関する参考資料
  • 食事の構成要素と魅力づくりの事例
  • 市場動向に関するマーケティングデータ
  • 参考文献一覧
  • あとがき
introduction
大野正人(おおの まさひと)

横浜商科大学商学部観光マネジメント学科教授。東京大学農学部林学科(森林風致研究室)を卒業後、JTBグループにてリゾート開発、およびホテル・津旅館の経営コンサルティングに従事。1991年より(公財)日本交通公社にて宿泊産業・観光マーケティングの調査研究に従事。その後、高崎経済大学観光政策学部、立教大学観光学部にて教鞭をとり、現職に至る。専門は、国内観光旅行・宿泊産業全般・観光地活性化に関するマーケティング調査や経営分析など。

【主な著書】

※発行時の奥付より
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