概要
summary
日本の体操科では、「学校体操教授要目」等で批判されていたにもかかわらず「技術の末に走る」傾向が強かった。この問題は現代の体育科と少なからず共通点を有しており、これからの体育科教育を考えるうえでも重要な意味をもつ。本書は、1920-40年の体操科を対象として、「技術の末に走る」という批判の内容や要因を明らかにしつつ、当時の理論家や授業者が「運動技術」指導をめぐる問題にどのように取り組んでいたのかを検討、考察した。
目次
contents
- はじめに
序 章
- 第一節 問題の所在と研究の目的
- 第二節 研究対象としての「運動技術」
- 第三節 先行研究の検討
- 第四節 研究の課題
- 第一項 研究の意義
- 第二項 研究の課題
- 第五節 研究の方法
- 第一項 史料
- 第二項 対象
- 一、人物
- 二、時期
- 第三項 論述の手順
第一章 要目調査委員の体育論にみる「運動技術」指導をめぐる問題
- 第一節 大谷武一の体育論にみる「運動技術」指導をめぐる問題
- 第一項 「技術の末に走る」という批判の射程
- 第二項 「運動技術」指導における理論と実践の乖離
- 一、指導の「経過」に関する問題
- 二、指導の「様式」に関する問題
- 第三項 「技術の末に走る」要因
- 一、現場に存在した問題
- 二、大谷の体育論に存在した限界
- 三、「運動技術」の有用性
- 第二節 二宮文右衛門の体育論にみる「運動技術」指導をめぐる問題
- 第一項 「技術の末に走る」という批判の射程
- 第二項 「運動技術」指導における理論と実践の乖離
- 一、「教材配合」に関する問題
- 二、教材選択に関する問題
- 三、指導の「経過」に関する問題
- 四、指導の「様式」に関する問題
- 第三項 「技術の末に走る」要因
- 一、現場に存在した問題
- 二、 二宮の体育論に存在した限界
- 三、「運動技術」の有用性
- 小 括
第二章 篠原助市に依拠した体育論における「運動技術」
- 第一節 篠崎謙次の体育論における「運動技術」と人格陶冶
- 第一項 「運動技術」と人格陶冶の関係
- 第二項 人格陶冶に寄与する「運動技術」習得の考え方
- 一、運動に対する要求の喚起
- 二、「意志動作」
- 第三項 指導法への反映
- 一、要求喚起の方法
- 二、「意志動作」の反映
- 第二節 浅井浅一の体育論における「運動技術」と意志の教育
- 第一項 「運動技術」への意義づけ
- 一、篠原助市の体育論に対する認識
- 二、篠原の体育論と「運動技術」との接点
- 三、「運動技術」習得における意志の把握
- 第二項 意志の教育としての「運動技術」習得
- 一、興味
- 二、模倣
- 三、創造
- 四、熟練
- 第三項 指導法への反映
- 一、器械体操
- 二、徒手体操
- 三、球技
- 第一項 「運動技術」への意義づけ
- 小 括
第三章 東京高等師範学校附属小学校における 「運動技術」 指導
- 第一節 齋藤薫雄の体操科実践における「運動技術」指導
- 第一項 齋藤薫雄の体育観
- 第二項 「技術の末に走る」という批判に対する見解
- 一、「自然的方法」に基づく要求
- 二、練習回数の重視
- 第三項 体操科実践における「運動技術」指導
- 一、尋常科三、四年生の実践
- 二、尋常科五、六年生の実践
- 第二節 中島海の体操科実践における「運動技術」指導
- 第一項 中島海の体育観
- 第二項 「技術の末に走る」という批判に対する見解
- 一、学年の考慮
- 二、能力差への対応
- 第三項 体操科実践における「運動技術」指導
- 一、一九三二年一〇月一〇日、尋常科五、六年生男子の実践
- 二、一九三五年一〇月五日、尋常科五年生男子の実践
- 小 括
終 章
- 第一節 本研究の総合的考察
- 第一項 「技術の末に走る」という批判の内容
- 第二項 「技術の末に走る」要因
- 第三項 篠原助市に依拠した体育論と「技術の末に走る」という批判
- 第四項 東京高等師範学校附属小学校における「運動技術」指導
- 第五項 一九二〇―四〇年の体操科における成果と課題
- 一、成果
- 二、課題
- 三、体操科に内在した問題
- 第二節 現代の体育科教育への示唆
- 第三節 今後の課題
- あとがき
- 史料
- 引用・参考文献
- 索引
著者紹介
introduction
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