概要
summary
気候の急激な寒冷化と世界的銀供給不足により、グローバルで深刻な影響をもたらした「17世紀の危機」に、フランスはどのように対応したのか。ルイ14世の統治下、それに立ち向かったコルベールの重商主義政策は、成功したのか失敗したのか。また、この危機が封建制から資本主義への移行をもたらしたとする論争もふまえ、当時の戦略的商品だった毛織物生産の動向を見ながら、イギリス、オランダと比較しつつフランスの特質を考える。
目次
contents
- まえがき
- 一
- 二
- 三
- 四
第一章 一七世紀の危機とフランス国民経済
- 序
- 一、一七世紀の全般的危機
- (一)危機の諸相
- (二)危機の原因
- 二、フランスの全般的危機
- 三、危機の克服 -生産の再編成と市場の開拓-
- (一)他の織物への移行
- (二)新しい型の毛織物(いわゆる「新毛織物」の創作ないし導入)
- (三)新しい市場の開拓
- 四、生産構造の変化
- (一)都市工業
- (二)農村工業
- 五、フランス国民経済の構造的特質
第二章 一七世紀の危機とコルベールの工業政策
- はじめに
- 一、一七世紀危機への対応策としてのコルベルティスム
- 二、特権マニュファクチュール
- 三、国家主導主義Etatismeとしてのコルベルティスム
- 四、コルベール工業政策の評価
- むすび
第三章 一七世紀フランス経済史をめぐる諸問題
- 序
- 一、危機への対応
- 二、コルベールの工業政策
- 三、ナントの勅令廃止と工業生産
- 四、一七世紀危機の克服主体
第四章 一七世紀の危機と移行論争
- 序
- 一、一七世紀の危機をめぐって
- 二、一七世紀の国際競争
- 三、農村工業の問屋制度的編成
- 小 括
- 四、一七世紀の危機とプロト工業化論
- 結 語
第五章 一八世紀後半フランス伝統工業の衰退について
- はじめに
- 一、一八世紀後半の停滞および衰退 -世紀前半とのコントラスト-
- (一)世紀前半
- (二)世紀後半
- 二、衰退の原因
- (一)通説(=大塚史学)の再検討
- (二)真の原因究明
- 三、貿易と七年戦争
- 四、一八世紀後半の絶対王制の工業政策
- おわりに
第六章 書 評 服部春彦著『フランス近代貿易の生成と展開』
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- 一
- 二
- 三
- あとがき
- 初出一覧
著者紹介
introduction
装丁
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