概要
summary
「戦後」は今の我々のポストコロナ時代も共有できる普遍的な意味合いを持っている。戦後知識人の加藤周一が出会い、取り組んだ苦難が姿を変え、形を変えて我々の前に表れているように思える今こそ、歴史における我々の時代の位置付けを確認し、これからを生きるために、一九五〇年代に「雑種文化」を先駆的に指摘した加藤周一および同時代人らの思考の原点を再認識する。本書は評論家として位置づけられてきた加藤周一の思想を再評価し、「普遍」と「例外」、「個別」と「全体」の相関関係を体現する通時的な思想構図を明らかにする。
目次
contents
序章 なぜいま加藤周一を語るのか
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- 加藤周一の思想射程
- 思想史の「外」の加藤周一
- 加藤周一の「例外」の思想構図
第一章 「近代」と戦後知識人
- 一、伝統と近代の間
- 二、日本の近代
- 三、一九一〇年代生まれの知識人
- 加藤周一と竹内好
- 加藤周一と丸山眞男
第二章 「雑種文化」と「土着世界観」が生み出した「例外」の思想
- 一、加藤周一の出発点
- 二、『日本文学史序説』の世界観
- 三、「孤高な系列」と「例外」
第三章 山上憶良の場合 -「例外」の知識人の原点
- 一、『万葉集』の時代
- 二、山上憶良の漢文
- 三、山上憶良の世界観と土着世界観
- 四、個別と普遍を結ぶ「例外」
第四章 竹内好、丸山眞男と加藤周一
- 一、竹内好
- 理想の 「アジア主義」
- 「超克」のための「否定」
- 「土着化」の限界
- 二、丸山眞男
- 「自我」と「原型」
- 荻生徂徠の「先王之道」と「作為」
- 伝統の「革命」と「限界」
第五章 「例外」と「単独者」
- 一、竹内好と丸山眞男から継承したもの
- 二、「単独者」と「単独的普遍」
- 三、加藤周一とサルトル
終章 「普遍的な例外」を目指して
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- 相関関係を体現した通時的な思想の構図
- 参考文献
- あとがき
著者紹介
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