概要
summary
文化には目に見える文化と目に見えにくい文化がある。本書は後者を「内在文化」と呼ぶ。この内在文化は海面下の氷山に当たり、これを無視して可視的な現象を論ずることは「仏作って魂入れず」の結果をもたらす。本書は、日本と韓半島(主に韓国)が置かれた環境は異なっており、そのため、それぞれ「状況志向的、理想志向的」な価値観が顕著になったと主張する。そして、この内在文化が両社会の「日常生活(対人関係、社会生活、ストレス、家族、宗教・思想、衣食住)、歴史、政治・外交、経済、表現(言語・非言語、文芸)、大衆文化(韓流、観光、スポーツ)」と如何にかかわっているかを解析する。
目次
contents
- プロローグ
第1章 2つの地域が持つ環境的な特徴
- 1.1. 先天的な環境・後天的な環境
- 1.2. 自然と人間
- 〈コラム〉 環境とは宿命である
第2章 日本と韓国の内在文化
- 2.1. より理想志向的・より状況志向的
- 2.2. 日本の「怨み」と韓半島の「恨」
第3章 生活と内在文化
- 3.1. 対人関係
- 1. 心の距離
- 2. 多種多様な「ウリ共同体」
- 3. 情と機能
- 4. 環境と人間関係
- 3.2. 社会生活
- 1. 立場・責任が存在価値を決める
- 2. 結果が大事・過程が大事
- 3. 組織間の壁が厚い日本社会
- 3.3. ストレス
- 1. 日韓社会のストレスとは?
- 2. ストレスはごく当たり前
- 3. 韓国社会は一枚岩ではない
- 3.4. 家族
- 1. 火事場の家系図
- 2. 迷走する家族
- 3.5. 宗教・思想
- 1. 国教が明確だった国・不明確だった国
- 2. 韓半島の人たちは思想好き?
- 3. マスコミ信仰
- 3.6. 衣食住
- 1. きものと韓服
- 2. 和食と韓食
- 3. 日本の家屋と韓国の家屋
- 〈コラム〉 食文化の共有
第4章 歴史、政治・外交、経済と内在文化
- 4.1. 歴史 ~日本と韓半島「開放・閉鎖」の関係を繰り返して来た~
- 1. 第1次韓流ブーム
- 2. 第1次嫌韓ブーム・嫌日ブーム
- 3. 第2次韓流ブーム
- 4. 第2次嫌韓・嫌日ブーム
- 5. 第3次韓流・日流ブームの到来か?
- 4.2. 政治・外交 ~まさに島国と半島国家~
- 1. 複雑化する東アジアのパワートライアングル
- 2. 韓半島は主義と利権が衝突する場所
- 3. 大統領は「国王」?
- 4. 安全で平和な国?
- 4.3. 経済 ~切っても切れない交易国~
- 1. 日韓両国の地政学的な条件と経済システム
- 2. 同族経営の国・韓国、実績経営の国・日本
- 3. 日本と韓半島との経済交流
- 〈コラム〉 地名に残る日韓交流の足跡
第5章 表現と内在文化
- 5.1. 言語表現
- 1. 仮名とハングル
- 2. ことば・表現と発想
- 5.2. 非言語表現
- 1. しぐさの比較文化
- 2. お返し文化
- 5.3. 文芸
- 1. 定型詩
- 2. 翻案小説
- 3. 烈女は理想に生きる
- 〈コラム〉 愛を叫ぶ!
第6章 大衆文化・レジャーと内在文化
- 6.1. 韓流
- 1. 韓流ドラマのストーリーは恨解き
- 2. アイドルグループはアーティスト
- 6.2. 観光・レポーツ
- 1. タイプが異なる観光客
- 2. レポーツ
- 3. スポーツに取り組む姿勢
- 〈コラム〉 ドラマ『愛の不時着』と『梨泰院クラス』に見る幸福度
第7章 「韓国人」「日本人」とは誰か?
- 7.1. 「~人」の基準とは?
- 1. 何が「日本人」「韓国人」を決めるのか?
- 2. 文化を学ぶ目的
- 7.2. 直接経験と間接経験
- 1. 四季を過ごしてはじめて文化が分かる
- 2. 違いはあれど人は似かよっている
第8章 どのように向かい合えばいいのか?
- 8.1. 日韓外交が直面する現実
- 8.2. 外交の解決方法とは?
- 1. 経済と安保の共有を
- 2. 歴史・領土問題の解決方法とは?
- 8.3. 多くの共通点を持つ日韓の伝統文化
- 〈コラム〉 ウチ選挙とウリ選挙
第9章 結び ~日韓は共生を目指す~
- 9.1.「ウリ」と「ウチ・ソト」になる努力を!
- 9.2. 外交政策は日韓両国の内在文化を考慮すべき
- 9.3. 韓半島は「理論」に、日本は安定的な「環境」にこだわる
- 9.4. 内在文化を活用できる「脱・見物人」の養成を!
- おわりに
- 主な引用・参考文献
著者紹介
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