概要
summary
予備知識無しでも読める哲学と倫理学の入門書。日常の素朴な疑問を出発点として着実に思考を重ねることを通じて、哲学や倫理学の考え方の基本を身につけることができる。全5章(第1章「世界」、第2章「物体・心・人格」、第3章「自由」、第4章「倫理」、第5章「正義」)からなり、高専や大学での哲学や倫理学のテキストとしても使用できる。前半の第1章から第3章までは、いわゆる理論哲学とよばれる分野に相当する問題を中心に取り上げており、認識論、心身問題、決定論と自由といった古くから問われてきた哲学的問題について考える。後半の第4および第5章では、前半の議論を踏まえたうえで倫理学あるいは道徳哲学とよばれる分野に相当する問題(功利主義や義務論など)に考察を加えていく。本書は、倫理をこえて政治(社会正義)の問題についても議論の射程に入れていることが一つの特色である。
目次
contents
- はじめに
第1章 世界
- 1 私の視点
- 2 想像、夢、記憶
- 3 観念的存在・感覚的存在・物理的存在
- 4 日常的な世界 ―客観性と間主観性のあいだ
- 5 実在とシンボル
- 6 実在と人間
- 7 シンボルの多元性と選択の問題
- 8 世界についての一元論、二元論、多元論
- 9 世界・私・共同性
- 10 世界の多元性と豊饒性
第2章 物体・心・人格
- 1 心と物を考える ―心身問題への導入
- 2 唯物論
- 3 唯心論(観念論)
- 4 二面論 ―スピノザとネーゲル
- 5 人格とその同一性の問題
- 6 他者の心という問題
- 7 哲学と人間
第3章 自由
- 1 決定論と自由意志
- 2 ストローソンの反応的態度
- 3 自由意志と責任
- 4 欲求・意志・理性
- 5 自由と他者 ―社会的な拘束性
第4章 倫理
- 1 自由から倫理へ
- 2 功利主義 ―ベンサム
- 3 社会的自由と快楽の質 ―J・S・ミル
- 4 義務論 ―カント
- 5 義務のいくつかの種類
- 6 利己主義と利他主義
- 7 悪意ある行為
- 8 徳と義務
- 9 人間以外の存在への倫理 ―動物倫理
第5章 正義
- 1 倫理から政治へ ―社会契約という思考実験
- 2 権力と国家
- 3 「多数者の専制」と公益としての自由
- 4 正義
- 5 正しさの判定 ―自由と格差をめぐって
- 6 国家と教育
- 7 国家を超えて ―人類の倫理
- 8 人間性の理念と多元的価値
- 参照文献一覧
- 主な人物略歴
- 人名索引
- あとがき
著者紹介
introduction
装丁
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