概要
summary
本書は、建設系学生や技術者のために、例題を使って1階と2階微分方程式、連立1階微分方程式(状態方程式)、波動方程式の時間領域と振動数・波数領域の解法を解説したものである。フーリエ変換は時空間領域と振動数・波数領域を繋ぐので、使い方と高速フーリエ変換を解説した。次に、ラプラス変換とフーリエ変換の関係や留数定理、また、各種微分方程式の数値計算法を整理した。構造物の免震と制震を例に、状態方程式の最適制御の基礎と数値計算例を示した。最後に、地震や外力による地盤振動の3次元と2次元問題の関係を例題とともに解説した。
目次
contents
- まえがき
- 概要
- (1) 時間領域と振動数領域(フーリエ変換)
- (2) 微分方程式の時間領域と振動数領域の解法
第1章 典型的な定数係数の微分方程式
- 1.1 外力を受ける1自由度振動モデルの運動方程式
第2章 1階微分方程式の解
- 2.1 時間領域の解法
- (1) 同次方程式の解
- 2.1 補助記事1 同次方程式の解の仮定
- (1) 同次方程式の解
- (2) 非同次方程式の特解
- (3) 非同次方程式の一般解と初期条件を満たす解
- 2.1 補助記事2 畳み込み積分(Convolution)の模式図による説明
- 2.1 補助記事3 指数関数のグラフと外力一定の時の解
- 2.2 振動数領域の解法(フーリエ変換による方法)
- (1) フーリエ変換とその条件
- (2) ラプラス変換のアイデアとラプラス変換の概要
- 2.2 補助記事1 一般化フーリエ変換とラプラス変換の関係
- (3)の場合の解法
- (4)の場合
- 2.2 補助記事2 複素積分の留数定理
- 2.2 補助記事3 係数の正負で分けて解析しない1階微分方程式の振動数領域の解析
(ラプラス変換のアイデアを使ったフーリエ変換:一般化フーリエ変換)
- (5) 時間領域と振動数領域の解のまとめ
- 2.2 補助記事4 離散フーリエ変換
第3章 2階微分方程式の解
- 3.1 時間領域の解法
- (1) 同次方程式の解
- (2) 非同次方程式の特解
- (3) 一般解と初期条件を満たす解
- 3.2 振動数領域の解法
- (1)の場合
- (2)の場合の振動数領域の解のまとめ
- (3)の場合
- 3.2 補助記事1 減衰定数零の単振動のフーリエ解析
(ラプラス変換のアイデアを利用したフーリエ変換:一般化フーリエ変換) - 3.2 補助記事2 単位衝撃力(Unit Impulse)による応答
(時間領域と振動数領域の1階と2階の微分方程式の解)
- 3.2 補助記事1 減衰定数零の単振動のフーリエ解析
- 3.3 時間領域と振動数領域の単位衝撃力による応答(グリーン関数)と 任意外力による応答の関係
第4章 定数係数の連立1階微分方程式(状態方程式)
- 4.1 概要
- (1) 定数係数の2階微分方程式
- (2) 定数行列係数の2階微分方程式
- 4.2 同次方程式と非同次方程式の解の概要(時間領域)
- 4.3 同次方程式の解
- (1) 固有値と固有ベクトル、固有行列と係数行列の対角化
- (2) 係数行列の対角化と対称行列の固有ベクトルの直交性
- (3) 一般解と初期条件を満たす解
- 4.4 固有値と固有ベクトルに関する性質の整理と例題
- 4.5 指数関数行列を使う解
- (1) 指数関数行列
- 4.5 補助記事1 指数関数行列の例題
- (2) 同次方程式の解
- 4.5 補助記事2 指数関数行列と差分方程式の関係
- (3) 非同次方程式の解
- 4.5 補助記事3 1自由度振動方程式の指数関数行列(伝達行列)
- (1) 指数関数行列
第5章 係数行列の固有値のみを使う伝達行列の計算
- 5.1 ケーリー・ハミルトンの定理を使う方法
- (1) ケーリー・ハミルトンの定理
- (2) 無限級数和の伝達行列の有限級数和表現
- (3) 重根の無い場合の例題
- (4) 重根の有る場合の例題
- 5.1 補助記事1 ケーリー・ハミルトンの定理
- 5.2 シルベスターの恒等式を使う方法
- (1) シルベスターの恒等式
- 5.2 補助記事1 振動方程式の解
- (1) シルベスターの恒等式
- 5.3 振動数領域の解
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- 5.3 補助記事1 で零でないような場合の解
(ラプラス変換のアイデアを使う方法:一般化フーリエ変換)
- 5.3 補助記事1 で零でないような場合の解
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第6章 定数係数の高階微分方程式
- 6.1 時間領域の解
- (1) 同次方程式の解
- (2) 非同次方程式の特解
- 6.2 振動数領域の解
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- 6.2 補助記事1 一般化フーリエ変化による2階微分方程式(振動方程式)の解
- 6.2 補助記事2 2階微分方程式(片持ち梁のたわみ曲線)
- 6.2 補助記事3 4階微分方程式(両端固定梁のたわみ曲線)
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第7章 微分方程式の数値計算法
- 7.1 1階微分方程式の数値解析法(ルンゲ・クッタ法)
- 7.2 2階微分方程式の数値解析法(ルンゲ・クッタ法)
- 7.3 2階微分方程式の数値解析法(Nigam・Jennings法)
- 7.4 2階微分方程式の数値解析法(Newmarkの法を用いたCloughの増分法)
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- 7.4 補助記事1 (テイラー展開とNewmarkの法)
- 7.4 補助記事2 4次精度のルンゲ・クッタ法とNewmarkの法の微分演算子と伝達演算子の関係による整理
- 7.4 補助記事3 一定外力を受ける振動方程式の差分法解と理論解
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- 7.5 連立1階微分方程式の数値解析法(直接積分法)
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- 7.5 補助記事1 一定外力を受ける1自由度系の振動
- 7.5 補助記事2 一定外力を受ける1質点系の振動の数値計算例
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第8章 構造物の免震と制震
- 8.1 受動的免震・制震の考え方
- (1) 外力を受ける1質点系の免震・制震
- (2) 外力を受ける多質点系の制震
- (3) 受動的制震系の数値計算
- 8.1 補助記事1 地震動加速度を受ける1質点系の受動的免震・制震の計算例
- 8.2 最適制震理論(外力の無い場合の時間に関する連続系の最適制震法)
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- 8.2 補助記事1 スカラーの1階微分方程式の最適制震外力
- 8.2 補助記事2 評価関数の最小値とリカッチ方程式(ラグランジェの未定係数法)
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- 8.3 制震理論(外力の有る離散系の最適制震法)
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- 8.3 補助記事1 外力を受ける離散化連立1階微分方程式の最適制震力とリカッチ方程式
- 8.3 補助記事2 外力の無い1自由度系の最適制震力と最適応答の数値計算例
- 8.3 補助記事3 正定値対称行列Pの計算のための繰り返し法
- 8.3 補助記事4 地震動を受ける1自由度振動系の最適応答と制震力
- 8.3 補助記事5 評価関数の最小値とリカッチ方程式
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第9章 2次元と3次元フーリエ変換による波動方程式の一般解
- 9.1 2次元波動方程式のSH波(面内問題)
- (1) SH波の波動方程式
- (2) 振動数・波数領域の解
- 9.1 補助記事1 波数・振動数の幾何学的意味とSnellの法則
- (3) 多層の要素剛性行列
- (4) 水平多層弾性体の全体の剛性方程式
- (5) 水平1層弾性体の地震波応答
- 9.2 2次元波動方程式のP・SV波(面外問題)
- (1) P・SV波の波動方程式
- (2) 振動数・波数領域の解
- (3) 多層の要素剛性行列
- (4) 水平多層弾性体の全体の剛性方程式
- 9.3 2次元と3次元波動方程式の関係(振動数・波数領域)
- (1) 3次元波動方程式
- (2) 振動数・波数領域の解
- (3) 調和平面波の特性と座標変換
- (4) 3次元波動方程式の解と2元波動方程式の解の関係
- 参考文献
- 索 引
著者紹介
introduction
助成出版
grant
各種寄付金による出版。
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