概要
summary
政治によって考察される人間関係は、倫理のそれと全く異なる。倫理的次元ではひとは己が望む者との関係に入るが、町の通行人、バスの乗客、同じ階の隣人と、何らの倫理的関係ももたないことができる。政治の本質は、一つの秩序が外側から、長期にわたって諸個人の全体に課されることである。だから、一つの公的力が存在し、その秩序を法律により規定し、もしもの時には暴力的強制により、その尊重と服従を課すことが本質的である。原書名「Éthique et Politique」
目次
contents
第一章 理論と実践
序 論
Ⅰ 伝統における理論と実践
- 理論への実践の古典的従属
- その難点
- 批判的解決の試み(カント)
- 歴史的解決の試み(ヘーゲル)
- 歴史的解決の試み(マルクス)
- 実存主義的帰結
Ⅱ 実践の理論のために
- 反省と自己意識
- 実践的理論の定義
- 実践的理論と歴史
第二章 自由の悪用と善用について
序 論 悪人の存在
- 1.善と悪について
- 2.劣悪な人
- 3.悪人
- 4.政治的技術と政治哲学
Ⅰ 独創性の原理
- 1.人間性と独創性
- 2.独創性の意味
- 3.独創性と個性
Ⅱ 一貫性の原理
- 1.一貫性の意味
- 2.一貫性の義務
Ⅲ 明敏性の原理
- 1.明敏性の意味
- 2.明敏性の義務
Ⅳ 相互性の原理
- 1.相互性の意味
- 2.理解の意味
第三章 倫理と政治
Ⅰ 定義
- 倫理の本質
- 政治の本質
Ⅱ 倫理と政治のアンチノミー
- 1.政治を欠いた倫理
- エピクロス的倫理
- 愛徳の倫理
- デカルト
- 2.倫理を欠いた政治
- 3.倫理を包む政治
- 4.政治を包む倫理
Ⅲ 解決の試み
- 歴史の中への倫理と政治の従属または吸収
- 倫理的義務
- 善い市民と善い人間
- 国家理性
第四章 政治的価値としての正義
Ⅰ 正義とは何か
Ⅱ 何が正しいか
- 1.平等と比例
- 2.平等と相互性
- 3.正義と任意使用権
Ⅲ 人間的正義
- 1.正義と教育
- 2.正義とその裁判官
- 3.功績と制裁
- 4.成行きの正義と自由の正義
- 5.正義の徳
- 6.あらゆる正義を越えて
第五章 正統的権威について
Ⅰ 権威の規定
- 状況、意義
- 権威、自由、責任
- 権威の基礎と理解
Ⅱ 権威の基礎
- 自然
- 理性
- 価値
- 伝統
Ⅲ 正統的権威
- 正統性の価値の構成要素
- 正統性の選択
- 訳者あとがき
著者・訳者紹介
introduction
装丁
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