概要
summary
1789年8月26日の「人間および市民の権利宣言」は、その諸条項の普遍性によって強い印象を与える。人間の自然的諸権利 ―自由、所有権、安全および圧制への抵抗― は譲渡不能な、消滅しない、神聖で、平等なものとして承認される。とくに平等に対して二度も論及された箇所で、ルソーの影響は明白である。しかし、人間の権利はそこでもまた、市民の権利の形をとってしか考えられていない。政治的結合と公的力の形成こそ、自然的諸権利に一つの実在を与える。なおもルソーの影響のもとに、市民の権利はまず何よりも政治的諸権利として確立される。市民たちは個人として、またはその代表者によって、法律の作成に協力する権利をもち、法律は一般意志の表明である。それゆえに、主権は本質的に国民のなかに存する。すべての権威は、正統であるためには、国民から発しなければならない。原書名「L'obligation politique」
目次
contents
- 序 文
第一章 政治的義務の性質と基礎
- 一 政治的義務の古典的な原理と基礎
- 二 政治的義務の諸要素と形式
- 三 諸々の問題
第二章 政治的義務と文化的義務
- 一 政治的義務
- 二 政治的アナーキズムと文化的アナーキズム
- 三 文化的義務と政治的義務
第三章 政治的義務の限界
- 序文
- 一 絶対的政治的義務
- 二 自由の絶対的要請
- 三 妥協とその限界―改革、市民的不服従、革命
- 結語
第四章 市民の権利
- 序文 人間の権利の教説は普遍的であることから遠い
- 一 それは人間についてのいかなる着想を含んでいるか
- 二 それは西欧の伝統において十八世紀までどのように発展してきたか
- 三 それは十九世紀にどのようにして再び問題にされたか
- 1 リベラルな保守主義によって
- 2 諸人間社会の歴史的または全体主義的構想によって
- 四 現代人はどのようにしてそれに新しい意義と新しい効力を与えようとしているか
- 1 形式的権利、 実質的権利および社会的権利
- 2 市民の権利とその二重の解釈
- 3 人間の権利の普遍的宣言?
- 結語 人間の価値、市民の義務と権利
- 訳者あとがき
著者・訳者紹介
introduction
装丁
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